これまでの課題
従来より、効果的な語学習得方法に関してはさまざまな研究がされてきております。
そのため、その理論に従って学習を進めて頂くことで、間違いなく語学学習を進めて頂くことが可能です。
しかしながら、実際にその通りの学習順序でカリキュラムを作成しても、なかなかうまく進まない状況が発生しました。
そもそも勉強する方が、勉強に取り組んで頂けないのです。
例えば、勉強計画表への記入をお願いして、夜7時から1時間は勉強しますと宣言されていたのに、翌日になって聞いてみると、結局全然勉強しなかったなど。
これではどんなに効率的なカリキュラムを用意しても意味がありません。
どのようにすれば学習に取り組んで頂けるのだろうかと、いろいろな書籍などで成功事例を探しておりました。
そのような中で、ふと、子供時代に夢中で取り組んだドラゴンクエストなどのゲームのことを思い出しました。
ゲームの中で行われていることはあくまで仮想のストーリーですし、主人公のキャラクターを強くして、ボスキャラと戦うといった大きな流れですが、その過程では膨大な時間をかけて小さな敵をやっつけ、武器を購入し、もう少し強い敵と戦っての繰り返しです。
そのような、今から考えると時間ばかりかかるゲームに、夢中になって、1日14時間くらいひたすらゲームにのめりこんでいました。
なぜあんなに、ゲームに夢中になったのだろうか、あの感覚を語学学習でも再現出来ないものだろうか、語学学習でゲーム感覚で夢中で学習してもらえるようになれば、楽しくあっという間にマスター出来るようになるのでいいのではないか。
そこで、ドラゴンクエストなどで、敵をたくさんやっつける過程を、問題を解く過程と置き換えて、たくさんの問題を解くことで、主人公が強くなり、次のステージに行くことが出来るようにすればいいのではないかと考えました。
N5とN4のカリキュラムにつき、全体を30に分け、それぞれの箇所で、ちょっとしたエピソードを動画で流します。
例えば、宝箱を見つけたといったような
そうなると、宝箱の中身はなんだろうと興味を持つのが通常です。
ただ、そこでクエスト(課題)を与えます。
例えば、ミニテストを8割以上正解すること、そうすればこの先に進むことが出来ると
これにより、学習者は宝箱の中身を知りたいので、ミニテストを一生懸命に取り組み8割以上の正解率をいずれ達成します。
その後、動画の続きを視聴することができ、宝箱の中身を知ることが出来るのです
宝箱の中身を知ることが出来て達成感を感じた後は、予期しない怪物が現れたりします。
このようにエピソードはどんどん続いていきますが、個別の30のストーリーは姫を鬼から助け出すといった太いストーリーに関連したエピソードになっており、エピソードを解くにつれ、ストーリーの結末をどうしても知りたいと感じるように設計されています。
つまり、N5とN4のカリキュラムを全て学習して、テスト結果も合格水準を取りたい、そしてストーリーの結末を早く知りたいという動機付けに結びつけているのです
30のエピソードの配置も注意深く検討して配置しております。
最初の頃は1日学習すると2つのエピソードを見ることが出来たりしますが、学習が進んでいくに連れ、だんだんその難易度が上がっていき、3日学習してやっと1つのエピソードをクリア出来るようになっています。
つまり、入り口では、ストーリーにどっぷりハマって頂くため、割とテンポよくエピソードが進みますが、後半では、既にストーリーにどっぷりハマっているため、難易度がどんどんあがり、なかなか次のエピソードに進めないようになっております。
ストーリーの内容としては、桃太郎やかぐや姫といった古典的な昔話から着想を得たものの、完全にオリジナルのストーリーとなっております。
古典的な昔話も、長い年月を経て今まで語り継がれているのは、人間の興味を惹く本質的な要素が入っているからではないかと考えております。
このような30ステップのストーリーを作成し、初めて学習者にテストしていただいた際は本当にどこまで効果があるのか?と少し不安でした。
しかしながら、10人ほどの学習者でテストしアンケートを取ったたところ、「ストーリーが面白く、勉強するというよりもゲームをやっている感じだった」と当初期待していた通りの声をもらうことが出来、開発チーム一同ほっとしたのを覚えています。
第一弾のストーリーが好評であったため、早速、続編の第二弾のストーリーを制作中です。
このような30ステップのストーリーを活用し学習モチベーションアップを行っているのは日本語カフェだけではないかと思います。
学習者の方が、自発的に学習に取り組み、夢中になって勉強して、あっという間に日本語をマスターして頂くことが出来るなら、本望です。
30ステップのストーリー学習メソッドがお役に立てば幸いです。