第二言語の習得方法 ★後半★

言語を覚えるときには、会話することが大切だということは言うまでもありません。しかし、第二言語の習得の際、なかなか会話ができないことがあります。覚えようとする言語を使用できる人が身近にいなかったり、単語や文法を覚えきれていないことによる自信の無さなどが理由であることが多いです。

 

ただ、第二言語を習得するときには、脳を母国語からその言語の脳にする必要があり、どうしても会話を恐れていてはいけないのです。第二言語の習得には、会話が一番です。片言の単語をつなぎ合わせるだけの会話で十分です。文法や単語にとらわれ、学ぶことだけを行っていたのでは習得は難しくなっていきます。言語は道具であるため、使わなければ磨かれることはないのです。

 

わざわざ現地に出向いて、その地に住めというわけではありません。母国にいながらでも、第二言語の習得は可能です。ただ、頭の中で考えるときに第二言語を使用するように訓練する必要があります。コミュニケーションとは、一瞬一瞬をつなぎ合わせたときに生まれるものです。その一瞬を母国語で考えているのでは、どうしてもコミュニケーションが遅くなります。そのため、学習段階から会話をすることを意識し、常に今はどういう言い方をすればよいのかと考える癖をつけましょう。

 

母国語と第二言語の認識

外国人が日本語を覚えることが苦手なのは、日本語を使う機会が少ないからです。最近は日本人の海外留学生なども増加傾向にありますが、それでも母国に日本人がいて、気軽に話す機会は少ないようです。

 

ヨーロッパを見てみるとわかるとおり、国境の違いはあるにも関わらず行き来が簡単に行うことができます。そのため、もともと文化の違う他国の人との会話をする機会が多いです。

 

ご自身が母国とする国は、どのような国でしょうか。単一民族国家なのか、多民族国家なのか。もともと外国の人と話す機会が多いのかどうかという点を意識してください。第二言語を習得する際、最初のころはどうしても母国語が頭の中を流れています。母国語を忘れる必要はありませんが、第二言語の習得には母国語を利用するのは良くありません。

 

母国語と第二言語は、別物だったとしても、どちらが母国語であるという認識は捨てるほうが良いです。第二言語を使用し、これから世界へ羽ばたこうとするあなたは、もしかすると母国語よりも第二言語を使用する年月のほうが長くなるかもしれないのです。

 

母国語であるとか、第二言語であるという境界線を無くす意識をもつことで、記憶の質が上がり、定着が早まります。大切なのは、意識を持つことです。境界線を無くすといわれても、どうすれば良いかわからないという人がいますが、母国語よりも第二言語を優先して思い出そうとする意識が大切です。

 

第二の母国語が第二言語

考え方ですが、母国語であるとか第二言語であるなどというのは、重要なことではありません。生まれ育った場所が、心の中で大切であることは疑いようもないことですが、第二言語として学んでいる言語は、あなたの母国語よりも長い時間使い続ける可能性を秘めています。

 

あなたが生まれた土地やご両親の話す言語により、母国語は決定します。しかし、それはあなたの意志とは無関係に選ばれています。運命という言い方や、奇跡という言い方で片づけてしまっても差支えがないほど、様々な偶然によってあなたの母国語は決定しているのです。

 

しかし、第二言語を学ぼうと試みているのは、まぎれもなくあなたの意志です。誰かに言われて学ぶ必要が出てきているのだとしても、学ぼうとする行動自体はあなたが行動する意思を示さなければいけません。努力や根性というものを必要とする時代は終わりを迎えました。言語の習得にも、努力や根性というものは大切ではありません。必要なのは、あなたの意志で継続することです。

 

第二言語は、あなたの意志で選んだ最初の言語です。ですので、母国語よりもあなたの想いが込められた言葉が使えるようになります。現在使用している母国語が、あなたの心に根付いているとしても、第二の故郷になる土地は、あなたのことを待ってくれています。

 

そして、そこで生きている現地の人々も、あなたが真剣に取り組む姿に心打たれるのです。言語の習得は、あなたの意志で学ぶことも放棄することもできます。ただ、習得した後、どのようなことが起こるのかを想像してみると、楽しいと同時に継続する意欲がわいてきます。

 

習得するための具体的な方法

多くの考え方を述べてきましたが、ここで具体的な習得方法をお伝えします。現在、まだ第二言語を習得するための準備を何も始めていないのであれば、考え方を学んだ上で、これからお伝えすることを実践してみてください。

 

まず、これまで述べてきたように、言語に対する考え方を学んでください。先入観にとらわれず、母国語と同じように第二の言語を愛するつもりで取り組みましょう。言語習得のための具体的なステップは以下の通りです。

 

・単語を覚える

・文法を学ぶ

・日常の中で使う

・毎日思い出す

 

ここまで述べてきた流れと同様ですが、箇条書きにするととても単純です。参考書や単語帳を使用するのは、単語と文法を学ぶときのみです。あとは、手帳やノートなどを使用することになります。

 

単語を覚える

単語の覚え方はとても単純です。イメージが大切だということは前述しましたが、具体的な方法は、単語帳を見るというものです。

 

当たり前なのですが、単語は見ることで覚えます。口に出して読んでみることも効果的です。しかし、ほとんどの人が単語を書こうとします。書くことは大切ですが、言語の習得をする場合、まずは読めることや口に出せることを意識的に行ってください。

 

単語帳を見るというと、当たり前すぎて意識をしていませんが、重要なのは単語帳をどれだけのスピードで反復しているかという点です。日本語学習者であれば、通常単語を覚える際、10個や20個という数を確実に覚えていこうと試みます。ですが、これでは効率が悪く会話するまでに忘れてしまうのです。1日あたり、100個以上の単語を見るようにしてください。理想的なのは、1日300語です。

 

書こうとすると、とても多く大変であるため継続が困難です。しかし、見るだけというのであれば5分や10分程度で行うことができます。100単語を朝、昼、晩と見るだけでも大丈夫です。ここでは、覚えることに意識を向けるのではなく、100個見たら頭に残るのは10個から20個程度で大丈夫です。とにかく大量に見ることを意識しましょう。1度ですべて覚えるのではなく、数日かけて単語帳を全て見たのち、何度も反復することで覚えている単語数を増やしていきます。

 

文法を覚える

文法を覚える際には、参考書を読む必要があります。学習塾のようなところで学習している人は、講師から出題される練習課題などを反復しているでしょう。それらの、ご自身が手に入れられる参考書で十分です。

 

参考書には、沢山の文法が載っています。解説を全て覚えようとすると、気持ちが続かず継続ができません。単語を覚えた時と同様に、基本例文をそのまま覚えるように試みてください。見て読んで、口に出すというリズムで行いましょう。

 

文法の習得は、理解よりも暗記です。暗記するための方法は、基本例文をそのまま暗記できていることです。文法の理解は、基本例文を暗唱できるようになってから、参考書を読むだけで理解できます。しかし、基本例文が覚えられていない状態で解説を読んだとしても、理解度が低くなってしまうために定着度が下がります。ですので、効率よく学んでいくためには、基本例文の暗記を中心に行ってください。

 

日常の中で使う

単語と文法の学習は、継続的に行ってください。1度覚えたからといって、学習をやめてしまうと忘れてしまい、またスタートに戻ってしまいます。継続して行う中で、日常の生活で使ってみましょう。

 

例えば、外出してきますというのを基本例文から探して言ってみる。トイレはどこですかと言ってみるなど、日常の会話をするときに、母国語を使用するのではなく、第二の言語を使用する癖をつけましょう。どうしても、母国語を使用しなければ相手に伝わらない環境にいるのであれば、頭の中で常に例文を思い出そうとするだけでも大丈夫です。

 

日常の中には、様々な発見があります。文法書で例文を覚えただけでは、どのように言えばよいかわからないという出来事も、多々起こります。そのような場合には、話せる人に聞きましょう。聞く相手がいないのであれば、メモをするなどして解決できるタイミングになるまで、保存をしておいてください。あなたが学習を継続していけば、必ず質問できるタイミングは訪れます。あなたよりもその言語に詳しい人は、必ずいるのです。とにかく日常の中で、常に言語を使うように心がけることが大切です。これができれば習得できるのは、もうすぐです。

 

毎日思い出す

言語だけに限らず、何かを学ぼうとするときには思い出す必要があります。なかなか暗記ができない人は、思い出そうとする癖がついていないのです。

 

いつも生活しているときに、あなたは何を考えながら生活をしているでしょうか。テレビを見るときに、何かを真剣に考えながら見ることは少ないです。しかし、テレビを見ていると母国語を聴いていることになるのです。そのため、母国語は常に思い出されています。

 

第二の言語の習得が困難だと感じるのは、思い出す機会が非常に少ないという事実があるからです。常に思い出そうと試みてください。母国語で聞いた言葉が、第二言語ではどのように言われるのかを、常に考えながら生活をするのです。そうすることで、現地に行くことができなくても、数か月で頭の中に第二言語が流れてくるようになります。ここまでくれば、第二言語を習得したといえるでしょう。

 

当たり前の中にこそ習得のカギがある

ここまでお読みいただくと、とても当たり前のことばかりを書いていることがお分かりになるでしょう。言語の習得は、当たり前の積み重ねです。あなたが第二の言語を、どのような目的で使用するかによって、覚えるべき単語の種類が違うでしょう。

 

しかし、母国語を使用している中で、わからない単語や言葉が出てきたらどうするでしょうか。おそらく、その言葉を誰かに聞くことになります。言語の習得は、そのような当たり前の行動ができるようになることなのです。

 

いつになっても、すべての単語や言葉を知っているということはありません。そもそも、言語は進化し続けています。母国語を考えてみればわかります。数年前は使用されていなかった言葉が、若者の間で使われていることは当たり前といえます。それは、あなたの母国語だけに起こっている現象ではなく、世界中のどこにでもある当たり前の現象なのです。

 

すべての単語や言葉を知っておくというのは、無理です。ですので、知らない単語や言葉が出てきた場合に、どのように解決してくのかがわかっている状態を目指しましょう。言語の習得だけではなく、あなたが新しいことを始める場合は、どのような場合であっても同様です。問題が起こった時に、解決できるようにしておくことが重要です。

 

聞く能力を鍛えましょう

最後に、重要であるにも関わらず、あまり教えてもらえない部分をお伝えします。それは、聞く能力は個人差があるということです。言語間の距離があることは、前述しましたが、文化の違いだけではなく、発音が聞こえるかどうかという点でも言語間の距離は存在します。

 

動物を参考にするとわかりやすくなります。人間は、こうもりやイルカ、クジラなどが発する言語を聞き取ることができません。音を発していることですら、気づくことができないほどです。

 

人間には聞き取れない音があることは、まぎれもない事実なのです。他国の言語を聞いたとき、聞き取れないという経験をします。ほとんどの場合、意味がわかるわからないの前に、何を言っているのかがわからないというものです。訓練をすれば聞き取ることができる場合と、訓練をしても聞き取れない場合があることを知っておきましょう。

 

どの音が聞き取りにくいのかには、個人差があります。それは、個人によって聴力が違うからですが、聞こえないから駄目ということではありません。聞き取れないのであれば、どのように解決するのかを知っておくことが大切です。

 

母国語を話す場合でも、友人が何を言ったのか聞き取れなかったということは多々あります。そのようなときに、あなたはどうやって解決するでしょうか。もちろん、聞き返すことになります。聞き返しても聞こえなければどうするでしょうか。頷いて聞いたふりをするのもよいでしょう。しかし、母国語の場合は口の動きで判断していることがほとんどです。

 

読唇術(どくしんじゅつ)というものですが、日常の会話で無意識に行っているものです。耳で聞こえない場合は、目で判断するのです。訓練の方法は簡単です。対人や動画などで、第二言語を話している人の口の動きを観察するのです。第二言語の読唇術は、目で見て明らかであるため意外と簡単に身に着けることができます。聞こえないのであれば、見れば良いのです。

 

まとめ

第二言語の習得をするための、勉強に対する考え方や方法をお伝えしてきました。毎日学習することは大切ですが、肩の力を抜いて日常の中で思い出そうとする意識を持つことのほうが重要です。言語の習得は、難しいものではありません。

 

基礎となる単語などを学習するのは、面倒くさい作業になることも少なくありませんが、使用することに楽しさがあります。第二言語を学習する目的を思い出してください。あなたが言語を習得するのは、誰かと話をするためです。コミュニケーションをとるためなのです。

 

言語そのものが楽しいと感じることはありません。言語を使うことに楽しさがあるのです。あなたが会話してくれることを楽しみに待ってくれている人が、必ずいます。どうぞ第二の扉を開いてください。